冬定を終えて

 昨日は冬定だった。朝早くからの一日仕事だったけれど、とても楽しく、本当に楽しく時間を過ごすことができた。一夜明けて、少し民音との馴れ初め(笑)を振り返りたくなったので、少しお付き合いください。

 わたしは中高で吹奏楽部に所属し、フルートを吹いていた。入りたての頃は楽器で音を出せることだけで楽しかった。少し経つと、わけもわからず延々と基礎練をやらされて、先輩の言うとおりに動いて、そんな部活の時間がちっとも楽しくなくなっていった。自主練をしていない分ほかの部員からだんだん後れを取るようになり、部活の練習時間は苦痛になっていった。なんで続けてたのかって聞かれたら、それは意地と怠惰だとしか答えられないだろう。それでも楽器を吹くのが楽しかったって、皆の前で胸を張って偉そうに言うことなんてできない。

 大学では、もう吹奏楽をやりたいとは思わなかった。でも何か楽器をやりたくて、新歓のチラシに尺八部を見つけたときは、これだと思った。サーオリで尺八を教えてくれた先輩はとても優しくて、すぐに入ろうと決めた。結局長くは続けられなかったが、あのとき仲良くしてくれた友達は今でも大事な親友の一人である。

 民音との出会いは、去年の駒場祭である。(実際には新歓の時期にその演奏を耳にして興味を持ったこともあったが、当時は尺八部に心を決めていた。)民音の演奏を聴きに行ったのは、ただ好きだった人が楽器を演奏しているところをみたいという動機だけだった。しかしそこで、ひとりひとりが楽しみながらノリノリで演奏している光景を目にし、とても大きな衝撃を受けて、民音に心を奪われてしまったのだ。「なんでこんな楽しいことしてるってもっと前から教えてくれなかったの!」と言って好きな人をぺしぺししていたように思う。今から思えばかなり理不尽な言いがかりだ笑

 時が経ち、わたしはすっかり民音の一員となった。あれだけ苦しんでいた吹部時代の経験は、今のわたしを助けてくれている。基礎練は大事だ。楽しんで演奏できることのありがたさも、あの時間がなければこれだけ切実に感じられなかっただろう。それから、尺八部のその先輩は、実は民音の人でもあり、この冬定で一緒に演奏することができた。信じられないくらい幸せなことだ。

 今のわたしは、胸を張って、「民音でこんなに楽しく演奏してるよ」と言える。こんな楽しいことしてるよって妹に教えても、はいはいって流されちゃうけどね笑